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Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
無形文化財 寺西宗山(てらにし そうざん)
「菊桐金銀流込象嵌角透火箸」
鉄地に溝を掘り、高温で溶かした金属を流し込んで嵌め込む
難しい技法が使われています。
寺西宗山さんの火箸は技術の高さもありながら、姿が美しいのが
魅力です。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
金と銀で象嵌が施されています。
寺西宗山さんは名古屋の金工で、「流込み象嵌および鑞付け透入り
鉄袋打」の高い技術で無形文化財に指定されました。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
流し込み象嵌文様のアップ。
溶けた金属は表面張力で丸くなり、細い溝に流し込むのは
大変難しい技術だと思います。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
火箸の持ち手部分を側面から見た様子。
「亀甲(きっこう)透かし」になっています。
この`透かし´は熱伝導の良い金属で炭を持つ場合、空冷方式で
持ち手部分を冷やす役目をしています。
実際に透かしがある部分と無い部分とでは温度がかなり違います。
この透かしを接着する時にも「鑞付け」の技術が必要です。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
寺西宗山「七宝流込象嵌亀甲透角火箸」
七宝文様を象嵌技法で表現しています。
火箸は寺西宗山さんの作品が一番綺麗です。
右に出る人はいません。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
七宝文様(無限に続く輪っか。吉祥文様の一つ)。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
光りにかざすと象嵌部分が光り輝きます。
暗い茶室の中では、とても綺麗だと思います。
この火箸も持ち手部分に「透かし」が施されており、
熱くならないようになっています。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
寺西宗山「菊桐象嵌火箸」
この火箸は上の2つと違い、断面が丸く中空の「袋打」に
なっています。
「袋打」とは金属の板を鍛造して丸め、中を空洞にする技術です。
これも炭から伝わる熱を逃がし持ち手が熱くならないように
する工夫です(鉄瓶にも袋鉉があります)。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
象嵌部分。
菊と桐の文様です。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
寺西宗山 作 金銀象嵌角透火箸 銘「四君子」
金と銀を象嵌に使った飾り火箸で‘流し込み象嵌’と‘透かし’‘鑞付け’
の技法が使われています。
側面は透かし状になっていて、持ち手が熱くならないような造りに
なっています。
1本に2面、2本で4面に四君子(気品の高い植物、すなわち梅・竹・蘭・菊)
の意匠が象嵌されています。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
「四君子」象嵌火箸
上‘菊’,下‘竹’の象嵌。
Inlaid metal chopsticks for handling live charcoal
「四君子」象嵌火箸
上‘蘭’,下‘梅’の象嵌。
4組共に高い技術と芸術性を兼ね備えた火箸です。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
寺西宗山 作 金流込象嵌釜釻(かまかん) 銘「うず潮」
この釜釻には‘流し込み象嵌’と‘袋打ち’の技法が使われています。
金属を象嵌した板を打って筒状にして、中空の構造にしています。
釜釻の中が空洞なので熱が伝わりにくく、実用性と軽さを
実現しています。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
寺西宗山 作 釜釻「うず潮」
釜釻の丸い形状に波模様を描くことで‘渦潮’を表現しています。
鳴門海峡の渦潮(Whirlpool of Naruto)は有名です。
寺西宗山さんは、センスの塊です。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
金流し込み象嵌で表現された、渦潮の‘波’。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
金流し込み象嵌で表現された、渦潮のうねりと波頭。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
寺西宗山 作 南鐐流込象嵌釜釻 銘「うず潮」
この釜釻は象嵌の素材に南鐐(純度の高い銀)を使った作品です。
‘流し込み象嵌’と‘袋打ち’の技法が使われています。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
南鐐流込象嵌釜釻「うず潮」
銀の反射率は可視光線で90%と高く、金属の中では一番
輝きがあります。
Inlaid metal pot rings for lift Chagama
南鐐流込象嵌釜釻「うず潮」
銀で表現された波と飛沫(しぶき)。
南鐐(銀)の方が夏に涼やかな感じがあります。
Vitis ‘Harmo noir’
醸造用ぶどう`アルモノワール´の実が生りました。
庭の片隅に垣根仕立てにしてあります。
生食用ぶどうと違い、種が大きく可食部分が少ないです。
味はデラウエアに近く甘いのですが、皮の渋み(タンニン)
が強いです。
古谷弘(忠六)さんの信楽焼の「ぐい吞み」です。
直径は9㎝。
信楽焼を焼く燃料の「赤松」の薪の灰が陶土と化学反応を
おこして自然釉となります。
この盃は人為的に釉薬を掛けたものではありません。
盃の裏側。
この「ぐい吞み」は、これ1つで信楽焼の全ての表情を
見ることが出来ます。
窯の高温の炎と薪の灰がもたらす表現です。
信楽焼の代表的な色である緋色(スカーレット色)も見られます。
古谷忠六さんは壷作りの名人でしたが(特に大壺が見事)、
この様な小品にも名作が多くあります。
たっぷりと自然釉が掛かっています。
信楽焼の「伝統工芸士」なので窯焼きの技術の素晴らしさも
感じられます。
盃の底のエメラルドグリーンのビードロが美しいです。
この色は赤松の灰でないと現れません。
静かな雰囲気の良いぐい吞みだと思います。
忠六さんの釜印。
「忠六」さんの信楽焼を見るまでは「信楽焼」が嫌いでした。
貧乏くさく、狸ばっかり作っているイメージで、焼き物では
やはり中国や朝鮮半島には敵わないと思っていました。
初めて「忠六」さんの信楽焼を見て、その綺麗さに驚き
「信楽焼の自然釉」こそ日本が世界に見せられる焼き物だと
考えるようになりました。
古谷弘(忠六) 信楽焼 大壷。
古谷忠六さんは壷造りの名人です。
この壷は珍しく明るい色調です。
壷の口は二重口縁になっています。
茶壷用でしょうか
壷の肩から胴にかけて自然釉が流れています。
焼成するときに被った灰が土の成分と反応し釉薬となっています。
この表情が信楽焼の醍醐味で、古信楽焼の自然釉は高名な陶芸家の
神山清子さんが現代に復活させました。
窯の中で灰に埋もれた部分は黒く発色しています。
信楽焼に使われる土は古琵琶湖の土で、とてもきめが細かいの
ですが、荒い長石が混じっています。
Protea ‘Special Pink Ice’ dead blossom bud
プロテア‘スペシャルピンクアイス’の枯れた蕾です。
植木鉢の用土を乾燥させてしまいました。
流通する苗は最小限の鉢土で仕立てられています(植木鉢が
大きいと輸送費用が多くかかるため)。
プロテアは開花時期には多くの水を必要とします。
その為に買ったばかりの根鉢の小さな苗の水管理には細心の
注意が必要です。
Protea ‘Special Pink Ice’ dead blossom buds
プロテアは花芽が出来てから蕾が大きくなって、開花中にも
多くの水を欲しがります。
水が不足すると苞葉(萼片)が茶色く枯れて、たとえ開花しても
美観を損ねます。
矛盾するようですが、水はけの良い用土で植えないと根腐れします。
プロテア‘スペシャルピンクアイス’は開花させるのが意外と難しいです。
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