古谷忠六さんの「ぐい吞み」と「大壷」 (信楽焼)
古谷弘(忠六)さんの信楽焼の「ぐい吞み」です。
直径は9㎝。
信楽焼を焼く燃料の「赤松」の薪の灰が陶土と化学反応を
おこして自然釉となります。
この盃は人為的に釉薬を掛けたものではありません。
盃の裏側。
この「ぐい吞み」は、これ1つで信楽焼の全ての表情を
見ることが出来ます。
窯の高温の炎と薪の灰がもたらす表現です。
信楽焼の代表的な色である緋色(スカーレット色)も見られます。
古谷忠六さんは壷作りの名人でしたが(特に大壺が見事)、
この様な小品にも名作が多くあります。
たっぷりと自然釉が掛かっています。
信楽焼の「伝統工芸士」なので窯焼きの技術の素晴らしさも
感じられます。
盃の底のエメラルドグリーンのビードロが美しいです。
この色は赤松の灰でないと現れません。
静かな雰囲気の良いぐい吞みだと思います。
忠六さんの釜印。
「忠六」さんの信楽焼を見るまでは「信楽焼」が嫌いでした。
貧乏くさく、狸ばっかり作っているイメージで、焼き物では
やはり中国や朝鮮半島には敵わないと思っていました。
初めて「忠六」さんの信楽焼を見て、その綺麗さに驚き
「信楽焼の自然釉」こそ日本が世界に見せられる焼き物だと
考えるようになりました。
古谷弘(忠六) 信楽焼 大壷。
古谷忠六さんは壷造りの名人です。
この壷は珍しく明るい色調です。
壷の口は二重口縁になっています。
茶壷用でしょうか
壷の肩から胴にかけて自然釉が流れています。
焼成するときに被った灰が土の成分と反応し釉薬となっています。
この表情が信楽焼の醍醐味で、古信楽焼の自然釉は高名な陶芸家の
神山清子さんが現代に復活させました。
窯の中で灰に埋もれた部分は黒く発色しています。
信楽焼に使われる土は古琵琶湖の土で、とてもきめが細かいの
ですが、荒い長石が混じっています。
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